原発立地の活断層の実態と、これを過小評価する電力会社や当局のテクニック
地理学者 渡辺満久氏(東海大学)による説明(2012/5/30)
- 地理学者は地面を見ている。現地の地形から判断し、試掘するのが実際的な方法。これにより、断層の活動履歴を把握できる。
- 音波探査は活断層を100%検出できるわけではない。音波探査で出ないから活断層がないとはいえない。現に、柏崎は音波で検出できなかった。
- 地震学者は地下構造を扱うが、地形をカバーしていない。地震学者が活断層を論じるのは門外漢による不適切な論評とみなせよう。
- 地震では、「揺れ」の被害はもとより、「ずれ」の被害にも注目すべき。
- 活断層は「揺れ」の元であり、また、「ずれ」による付近への甚大な被害をもたらす。したがい、活断層を避けた建設をおこなうことで、地震の被害を抑えられる。
- 活断層の規模(長さ)は、発生する地震の規模の指標となる。
- 活断層の真上については、建物の耐震性では、被害を防ぐことはできない。
- 中部・東京・東北各電力の原発立地の調査・判定には、地形学者が加わっていない。サイト付近ないし直下の活断層を無視する、ないし、付近の断層の長さを過小評価(遠隔地の活断層を強調)する明らかな傾向がみられる。「破砕帯」と称するものも活断層である。
- 敦賀原発敷地直下の分岐活断層の指摘(2008年以来)に対して、電力会社側は調査不良を認めようとしない(申請者による調査報告書の信憑性に疑問)。
- 大飯原発の再発審査に地形学者が加わっていない。まともなインプットなしに、どうして「最高の」判断ができるのか?
- 六ヶ所村再処理施設は、長い大陸棚外縁断層(活性)の末端に位置する。これを前提に置こうとしない当局による地想定震規模は、実際に起こりうるものの数百分の一と思われる。
- 浜岡原発は、隆起(当然地震がおこったであろう)による地面の動き跡=地すべりの下手にあり、不適切な立地と言わざるを得ない。
映像では、地形図や写真を用いて、
説明している。具体的で説得力があると思う。
http://www.ustream.tv/recorded/22950872
東日本で捕獲された野生鳥獣肉に残留する放射性物質 検査結果
環境庁が主催、各県の猟友会が協力しておこなった捕獲野生動物(鹿・猪・熊・鴨・雉など)の放射性物質汚染状況調査結果が、ここに↓掲載されている。
http://www.moriniikou.jp/index.php?itemid=779&catid=8&blogid=4
5月30日現在、2012年5月18日までに連絡を受けた内容がまとめられている。
「やはり」(汚染地図を裏付け)と思わせる内容。
計測した肉の部位と重さ、生体の体重・想定年齢(老若)などの付加情報があると、よりよいのだが。
推測されること:
NHKスペシャル シリーズ原発危機 知られざる放射能汚染 〜海からの緊急報告〜
NHKスペシャル2012-01-15の内容梗概を覚書
■まとめ
(1)茨城、福島の魚は高濃度の汚染されている可能性が高い。
そろそろ千葉沖も危ない。
得に海底魚:メバル、アイナメ ホウボウ
汚泥が海底に滞留し、沿岸流に沿って、南に広がりつつある。
(2)群馬県の湖沼の魚:ウグイ、イワナ、ワカサギも汚染。
山に降った雨水が湖に流れ込み、出て行かない。
(3)東京湾の汚染は2年後に湾内全域に広がり、10年以上滞留する。
首都圏に降った汚染雨水が荒川・江戸川河口付近を中心に、周辺に広がっていく。
近々、政府のベクレル値暫定500-->100になる予定
その結果、汚染魚認定が増えることが予想される。
以下、詳細 -------
■海
原発の近く20km圏
・海底に高濃度の放射性物質を含む泥土が沈殿している
・魚 メバル、アイナメ ホウボウ:海底に生息する魚は多くの放射性物質を含む.見
た目に異変はない
・ゴカイ(魚の餌)が泥を食べる 泥300ベクレル-->ゴカイ130-->底魚316 食物連鎖の
結果、魚に濃縮される
・泥の拡散には数年かかる
いわき沖:30km南
沿岸流は自転の影響で南向きに流れる傾向
海底300ベクレル測定
茨城県北部:80km
最大でも38ベクレル程度 岩場だからか?
茨城県南部ひたちなか:120km
底泥から380ベクレル=海流の流れでホットスポットができている
政府のベクレル値暫定500-->100になる予定
これに伴い、茨城県で水揚げした魚も出荷されなくなる可能性が高い
千葉県調子沖180km
最近、放射線濃度が高まっている=汚染場所が南に移動していきている
■湖沼
23箇所で淡水魚の汚染が報告されている
200km圏 群馬県赤城の湖の魚から640ベクレル (大気0.17ベクレル)
ウグイ、イワナ、ワカサギ
プランクトン(餌)296ベクレル
泥950ベクレル(深さ20cmまで汚染)
周囲の山に降ったセシウムが流れ込み、水の流れがないため、湖底のセシウムは動かな
い。
プランクトンの寿命は短いが、湖底のセシウムに代々侵されている。
チェルノブイリ後の継続的な魚の汚染調査が示すこと:
5年間は暫減、その後、横ばい(減らない)
■首都圏 東京湾
首都圏に降った放射性物質は、川を経て東京湾に流れ込んだ
底泥の放射性物質
押しなべて100ベクレル程度。
荒川江戸川河口付近 872ベクレル=ホットスポット
河口から8km 1623ベクレル
川からはいったセシウム泥は、河口の塩水により泥の凝集が起こり、河口の底に堆積す
る。
いったん堆積すると、動きにくい。
6ヶ月に首都圏陸地に降った放射性物質の50%が東京湾に。
東京湾内を5km/年移動 2年後に東京湾内全体に広がる
その後10年以上東京湾から拡散しないと予測される。
地表の汚染地図
地表の汚染地図がいろいろ出ていることに今頃気づいた。
これは群馬大の早川という先生が定期的に発表している放射能の広がり調査図
(県境を強調してみた)。
東京は概ね白(閾値以下)だが、それでも汚染されているのは知ってのとおり。
ということは、色の付いている場所は結構危ないのだ。
詳しくは:http://kipuka.blog70.fc2.com/
国立環境研究所の放射性物質の大気輸送沈着シミュレーション
(3.11からの累積量のキャプチャ)
このほうが、汚染を広範囲に捕らえている。
詳しくは:http://www.nies.go.jp/shinsai/
>千葉の野菜はどうだろう?
千葉県北部と、東京湾岸が駄目。ここらは近郊野菜の産地だから、食べないほうが良い。
どーーーしても近県の野菜を食べたいなら、千葉より埼玉や都内産がましとわかろう。
もちろん、群馬、栃木、茨城、福島はNG。
新潟も、十日町は首都圏向け「きのこ」の産地だが、危ない感じだ。
どうしても「きのこ」を食べたいなら、新潟より長野。
野菜は長野・静岡か、本当は愛知県より西としたいところだ。
大地を守る会「西の野菜セット」定期購入について、母の説得が急務だな。
秋田、青森もいいようだ。
■地表のどういうところに、放射能汚染されたものが溜まりやすいかを、
上の早川先生が実際に歩いて測定している(上記サイト「放射能散歩」)。
浸透性の良い場所:
・水はけのよい土
・水の上
・目の細かいアスファルトやコンクリート道路
これより3-5倍ほど濃度が高いのが:
・落ち葉や砂土が吹き溜まっている場所
・道路の側溝や、側溝ふたの上
・目の粗いアスファルト(目にごみが溜まる)
つまり、海底で、放射能が泥に絡め取られ、海流で吹き溜まって
偏在しているのと、同じようなことが地表でも起こっているわけだ。
食材宅配事業者の食品残留 放射能量 自主検査を比較
(調査続行中)
東都生協:閾値の低さを評価。魚介類への対象拡大が課題か(それとも東都では海産物を出荷していないのか?)。
パルシステム:品目範囲の広さと水田土壌検査公表は評価。しかし、土壌330Br/kgなのに、稲体から不検出とはちょっと信じがたい。
生活クラブ生協・Oisixは、基準値が政府と同等なので、使えない。
事業者 | 自主検査有無 | 結果公表始期 | 調査-->発表 | 対象品 | 検出限界値(Bq/kg) | 状況 |
東都生協 | あり | 2011/4/18から週1回 | 調査翌月曜 | 20品目X産地 可変 牛乳・卵・肉・菌類・青果が主で海産物は少ない |
8月末から品目増に伴い1-->2程度に引上予定 | 微量なものまでよく拾っている |
生協 宅配パルシステム | あり | 2011/5/31から週1-2回 | 収穫〜報告:1週間+α, 報告〜公表:2日 |
10-20品目X産地 可変 米・青果・肉・魚・乳製品等に分類 |
セシウム5-10, ヨウ素10-20 | 閾値が高いためほぼ検出なし 水田土壌検査結果付き |
大地を守る会 | あり | 2011/5/16 | 1週間程度? | 一度に20品目程度 産地 青果・畜産(卵乳を含む)・水産 |
10 | - |
生活クラブ生協 | あり | - | 都度変更し品目毎に結果公表 | - | 100 | 品目の拾い出しは細かい |
Oisix | あり | - | - | 品目毎(産地表示なし)に継続 | ヨウ素100,セシウム不明 | - |
スーパーマーケット:
西友・サミットストア・成城石井・京王ストアのサイトを調べた限り、自主検査の記事なし。政府の回収指示に従っている程度。
2012/6/10追記
大地を守る会と4月頃漸く契約し、「西の野菜セット」が届くようになった。しかし、値段の割りに内容量が少ないと東京の家では不評紛々だ。やれやれ。