放射性物質と食品 〜 Report of the UN Chernobyl Forum 2005 から一部抜粋

チェルノブイリとその後の作物関係の対応は、参考になる。
チェルノブイリ・フォーラム・レポートから
http://www-ns.iaea.org/downloads/rw/meetings/environ-consequences-report-wm-08.05.pdf
★印は父コメント。
搾乳地不明の乳製品への警戒を強める必要がある。

■■時系列での整理■■
原子力システム研究懇話会訳の又引 http://www.enup2.jp/newpage30.html

■1986年4月26日 チェルノブイリ事故(爆発による飛散)

■1986年5月3日〜5日 緊急対策
①家畜の退避:30km圏の住民とともに牛豚羊馬も退避。退避地区における飼料困難から、多数の家畜は屠殺
②ミルク中の放射性ヨウ素対策:政府指示は出たが伝達不良で実行されず:牧草飼料より汚染のない貯蔵飼料に切替 (b)モニタリングを行い、131I(ヨウ素)の濃度が②3.7kBq/L以上のミルクは流通除外、(c)流通除外されたミルクは粉ミルク、チーズ、バター等に加工 ★汚染されたミルクがチーズ・バターなどに加工され流通していた点に注意。多分日本でも。

■事故後約2ヶ月間、放射性ヨウ素は飼料⇒乳牛⇒ミルクと急速に移行。約2ヶ月後には殆ど崩壊
★福島の場合は、漏洩が年単位で続くことが予想されるので、ミルク汚染は継続すると考えられる

■1986年6月初旬 放射能汚染地図が完成
牧草の汚染の程度判明。何処で汚染牛乳が生産されるか明らかに。放牧禁止地域が定められる。
★日本ではまだ不明確

■1986年6月
放射性物質の農産物への移行(土壌からの吸収)を低下させる対策
(a)137Csの地表面汚染が555kBq/m2を越える汚染地域の牛は畜殺 (b)汚染された肥料の使用制限 (c)農産物のモニタリング (d)基準を越えたミルクは加工ミルク(バター、チーズなどの保存食品)に

■事故後1年間で汚染地域の穀物やミルクで基準を越えているもの割合約80%

■1987年
集約農業地の農産物汚染レベル低下、137Cs(セシウム)の高レベル食品は肉やミルクのみに。
対策は肉やミルクの放射性セシウムの低減に。
馬鈴薯や根菜類は放射能濃度が低いので生産。

■1988年
穀物中の放射性セシウムは前年より一段と低下したので、殆どの穀物が基準以下に

■1991年
汚染地域の穀物中の137Cs濃度が370Bq/kgを越えるものは0.1%以下


■■農業生産物に対する対策■■
直訳

■採取・販売禁止 野生品中心
きのこ、いちご(74kBq/m2以上の放射能量の林での採取禁止)
★ロシア人は山でこれらを取ってよく食べるらしい
これらを食す獣肉(鹿など)
閉鎖地域の湖沼で取れた魚介類

■土壌に対して根対策処理:
セシウムは、カリウムアンモニウムと競合。ストロンチウムは、カルシウムと競合。
つまり、カリウムアンモニウム・カルシウムが多量に施された土壌では、植物の汚染度合いは減る。
肥料(窒素・燐酸・カリウム・石灰)の散布、表層を剥ぎ取る鍬起こしが有効。
★化学肥料を一杯使った作物を食べよう。粗放農業はもう駄目だ。

■飼料作物の変更
セシウム吸収率(低い順に)の低い作物に切替

・にんじん 20%未満
・キャベツ 20% ★アブラナ科
・トマト 30%弱 ★ナス科
・ポテト 40%弱
いんげん豆 40%
・砂糖大根=てんさい40%
アカザ科(ホウレンソウ、オカヒジキ、とんぶり、テンサイ、フダンソウ)も?
・きゅうり 50%
ラディッシュ大根 60% ★アブラナ科
・えんどう豆 100% ?
・そば 100% ?
・クローバ 100% 食べないと思うけど

同じ科でも吸収率が異なる。小松菜などはどうなんだろう?

アブラナ科の菜「種」はセシウム吸収率が低い。成長期に化成肥料を追肥することで効果が高まる。
菜種油に加工する際にセシウムストロンチウムを除去することで、残存量は無視できる程度に低下。
汚染地域では、菜種栽培が推奨された。
★種への残留が低いのであって、食葉はまた別と思う。