明8日は傘を忘れずに

明日は久しぶりに雨が降るかも。
浮遊する放射性物質チリが落ちてくるので、雨が降りそうになったら、無理な外出は避
ける方がよい。
濡れた服は、帰宅後すぐ洗濯。体もシャワーを浴びたほうがよい。
(普段、お風呂から出るときも、シャワーで風呂水中の物質を流す癖を)
濡れた傘を家の中でどのように管理するか、皆で決めておいたほうがよい。

例のガイガーカウンタで、定期的な放射線量測定をよろしく。
いくつか測定場所を決めておいて、記録をつけるとよい。
日時・天候・風の強弱|場所・線量。場所は家の中と外。
化学の自由研究ネタに使えるかも。
その他、服、傘、タオル、食べ物なんかも、時々チェックして。

0311以降、日本に住む者を取り巻く世界は、(当人が意識していなくとも・目には同じ
に見えても)がらりと変わってしまっている。
こういう時は、意識的および意志的に生活習慣を変える努力が必要。
・遊びの予定も雨のときはキャンセルする。
・海産物や牛乳は危ないと頭で考えたら、食べたくても、意志的に抑える。
・内部に放射性物質を取り込んだ野菜を摂取することを抑えるために、どうすればよい
か考えて行動する。

米仏の推定:既に米国スリーマイル事故の規模を大きく超え、3月末時点で旧ソ連チェ
ルノブイリ放出量の10%を越える。
旧ソ連チェ原発のように爆発→一気に拡散とはならずとも、だらだら何ケ月(年)も長
期間放出が続くとみなすほうが理にかなっている。規模はチェより福島が大きいため、
世界最悪の事故とみなされる日もくるだろうと思う。

放射性物質の空と海への放出は続くと考える根拠:
空への拡散:4号機の使用途中の核燃料が、炉の外で、むき出し状態のままなこと。
汚染水の海への流出:一箇所は止めたとはいえ...
・冷却が先決→冷却水を入れる限り、汚染排水は出る←格納容器(特に2号炉)は損傷
している。
地震津波で、護岸がどの程度損傷を受けたか不明。しかし、汚染水が漏れ出る亀裂
は一箇所ではなかろうと推測はできる。
・政府と東電は、当事者能力が低いために今後のシナリオ(予測に基づく段取り)を
描けていない (ないし、愚民まやかし政策をとっているため十全な情報公開をしない)こと。

福島原発 これまでのまとめ1 フランス大使館報3月13日

(概略訳)
大使館からフランス人コミュニティへのメッセージ
3月13日18時

1.地震による人的損害 略
2.自国民の被害 略

3.核に関する要点
二つのシナリオの実現可能性がある。危険が起こりうるのはここ3-4日である。

*ひとつは、発電所の欠陥がコントロールの下に置かれる場合。この場合、リスクは放
射性ガスによる汚染にあり、東京圏へのリスクは無視しうる。このシナリオは日本の当
局や多くの科学者に支持されている。
...最悪の場合A

*もうひとつは、圧力容器(核反応塔)が放射線のジェット噴出を伴って爆発するとい
うもの。ジェット噴出は数時間で東京に到達する、風向きと強さによるが。リスクはそ
の汚染にある。
...最悪の場合B

原子力発電所の一部の停止にともない、電力カットがアナウンスされた、今日の終わり
から。

4.推奨
日本の気象庁は、今日、マグニチュード7以上の地震が発生する確度につき言及した。
3日以内に70%の確率で、続く2日以内に50%の確率で。

これまで述べたこと(強い地震のリスクと原子力発電所問題の不確実さ)を考慮すると
、次のように助言するのが理にかなっている。
即ち、東京圏にこれといってとどまる理由のない者は、東京を離れ、関東圏外の地域に
移動すること。
日本への旅行を計画している自国民には日本訪問を控えるように強く推奨する。

高校は水曜日まで3日間休校し、地震による被害を調査する。

フランス大使館は、事態の進展を引き続きフォローする。パリや日本の当局と接触しな
がら。
自国民においては、日本の当局の指示に従うことを推奨する。

発電所近くに住む自国民は、家にこもり空調を止めるように。そして、数時間分の水と
食料を蓄えるように。どうしても外出する場合はマスクをするように。
被爆時に服用する)ヨウ素カプセルにつき、過剰量の繰返し摂取は健康に危険である
。したがって、必要なそのときに、必要量を内服することが重要である。

http://www.ambafrance-jp.org/spip.php?article4569

(コメント)
この時点で2つのシナリオを提示していたことに意義があると思う。
フランス大使が25日頃「退去推奨はしていない」と発言。記事も仏大使館HPから消えたので、記念に採録

--(原文)--
EISME : Message de l’Ambassade a la commnunaute francaise
Dimanche 13 mars a 18.00 heures

1. Pertes humaines
Nouveau bilan provisoire : au moins 10.000 morts (source : police de Miyagi)

2. Points ressortissants :
Sur les 137 ressortissants francais presents dans la region Nord-Est, la plus touchee par le seisme, 116 ont pu etre contactes et sont indemnes. La cellule de crise de l’Ambassade met tout en ?uvre pour rentrer en contact avec les 21 dont on reste aujourd’hui sans nouvelle.
Miyagi : 77 personnes sur 93 recensees
Iwate : 5 personnes sur 10 recensees
Fukushima : 19/19
Aomori : 15 personnes sur 15 recensees

La France envoie en ce moment une equipe de plus d’une centaine de personnes de la Securite civile au Japon, afin de preter main forte aux autorites japonaises et de les aider dans leur travail de secours.

3. Point nucleaire :
Deux scenarios sont actuellement possibles :
* Une mise sous controle des centrales defectueuses : dans ce cas le risque reste celui d’une contamination residuelle liee au relachement controle de gaz radioactifs, avec un risque negligeable pour l’agglomeration de Tokyo. Ce scenario est actuellement privilegie par les autorites japonaises et par un grand nombre de scientifiques.
* Ou au contraire l’explosion d’un reacteur avec degagement d’un panache radioactif. Ce panache peut etre sur Tokyo dans un delai de quelques heures, en fonction du sens et de la vitesse du vent. Le risque est celui d’une contamination.
La periode critique sera les trois a quatre jours a venir.
En raison de la mise a l’arret d’une partie du parc nucleaire, des coupures d’electricite sont annoncees, notamment des cette fin de journee.

4. Recommandations :

L’Agence Meteorologique japonaise vient de faire etat de la probabilite d’une replique de magnitude 7. Cette probabilite est de 70% dans un delai de trois jours et de 50% dans les deux jours suivants.
Compte tenu de ce qui precede (le risque d’un fort tremblement de terre et l’incertitude sur la question nucleaire), il parait raisonnable de conseiller a ceux qui n’ont pas une raison particuliere de rester sur la region de Tokyo de s’eloigner de la region du Kanto pour quelques jours.
Nous deconseillons fortement a nos ressortissants de se rendre au Japon et nous recommandons fortement de reporter tout voyage prevu.
Le lycee sera ferme pour trois jours jusqu’a mercredi inclus, pour permettre une inspection des locaux suite au tremblement de terre.
L’Ambassade continue de suivre de tres pres l’evolution de la situation, en contact a la fois avec Paris et avec les autorites japonaises.
Nous recommandons a nos ressortissants de suivre en toutes circonstances les consignes des autorites japonaises. Il est notamment conseille a nos ressortissants vivant dans les zones a proximite des centrales de se calfeutrer dans leur domicile (il faut couper les systemes d’aeration), et de faire quand ils le peuvent des provisions de bouteilles d’eau potable et de nourriture pour plusieurs heures. En cas de sortie indispensable, il est necessaire de porter un masque respiratoire.
Nous rappelons que l’absorption de capsules d’iode n’est pas un acte anodin. Un usage repete a l’exces peut etre dangereux pour la sante. Il est donc tres important de choisir le bon moment pour en absorber lorsque cela devient necessaire. La encore, il conviendra de suivre les conseils des autorites japonaises et nos propres consignes que nous vous communiquerons.
L’Ambassade ne manquera pas d’informer ses compatriotes si de nouvelles consignes devenaient necessaires.

Service de Communication et d’Information (13 mars)

福島原発 これまでのまとめ2 フランス大使館/IRSN報3月16日

(概略訳)
東京の状況についての、フランス放射線防護原子力安全研究所(IRSN)からのメッセー
ジと推奨

3月16日2時

日本の当局は福島原発の深刻な事態に直面している。
東京圏においても、遠隔地にも係わらず、放射能レベルの上昇は注意すべきレベルに達
しており、今後数時間の気象がよい方向に向かうこと(国内の風向と降雨)を期待して
いる状態。これによりレベルは多分弱まるだろうが、その後は、核反応器(圧力容器)
の損傷の進展に伴って、気象状況によるが、今後20-30時間のうちにさらに強まる可能
性がある。

日本のフランス人コミュニティのメンバに対するいくつかの事前注意

・予防のために、また、日本当局の業務を円滑にするためにも、状況が悪化する仮定の
下で、居住や仕事のためにその場にいることが不可欠ではない全ての人に対して、東京
(特に比較的福島原発に近いエリア)から日本の西方への退去(e'loignement)またはフ
ランスへの帰国が推奨される。

・その場に留まる人々については、事態悪化のアナウンスがあった場合は日本当局の指
示に従うのが正しい。放射能粒子を含むだろう雨に打たれることを可能な限り避けるこ
と、住居やオフィスの換気を限定することは正しい措置である。
日本当局は、有事の際は、人々にヨウ素錠を配布するだろう。ヨウ素錠は大使館でも入
手可能である。
この錠剤は、特に妊婦、育児中の女性、子供と若者にとって重要。効能の持続期間を被
爆に合わせるために、日本当局ないし大使館(IRSNの専門家や医師と緊密に連絡を取っ
ている)による指示があるまで服用してはならない。

(コメント)
一気に①圧力容器②格納容器の底が大抜けして水蒸気爆発する緊急・最悪の事態には、「幸いにも」ならなかったが、リスク管理の観点からは、この時点のこの判断は評価したい。

---- 原文 ----
Message et recommandations de l'IRSN sur la situation a` Tokyo
Mercredi 16 mars a` 2 heures

* Les autorite's japonaises font face a` une situation grave sur le site nucle'aire de Fukushima. Malgre' l’e'loignement, un accroissement des niveaux de radioactivite' a de'ja` e'te' constate' au niveau de l’agglome'ration de Tokyo, et reste attendu dans les prochaines heures en fonction de l’e'volution de la me'te'orologie (direction des vents dominants et chutes de pluie). Ces niveaux resteront probablement faibles, mais pourraient s’amplifier ulte'rieurement en fonction de l’e'volution des re'acteurs accidente's, avec un de'calage de l’ordre de 20 a` 30 heures compte tenu des conditions me'te'orologiques actuelles.

* Plusieurs pre'cautions peuvent e^tre prises, compte tenu de cette situation, par les membres de la communaute' franc,aise au Japon :

o A titre pre'ventif, mais aussi afin de faciliter la ta^che des autorite's japonaises, dans l’hypothe`se d’une aggravation importante de la situation, un e'loignement de Tokyo (et plus ge'ne'ralement des re'gions relativement proches de la centrale de Fukushima) vers le sud du pays, ou un retour en France est recommande' a` tous ceux dont la pre'sence n’est pas indispensable sur leur lieu de re'sidence et de travail.

o S’agissant des personnes qui resteront pre'sentes, il convient de suivre les consignes diffuse'es par les autorite's japonaises en cas d’annonce d’une aggravation de la situation. Il convient notamment d’e'viter autant que possible des de'placements sous la pluie, l’eau de pluie pouvant e^tre contamine'e par des particules radioactives, et plus ge'ne'ralement de limiter les de'placements ainsi que les ae'rations des logements et bureaux. Les autorite's japonaises proce'deront en cas de ne'cessite' a` la distribution de comprime's d’iode aux populations. Il est aussi possible de se procurer des comprime's d’iode aupre`s de l’ambassade. Ces comprime's sont surtout importants pour les femmes enceintes et allaitantes, les enfants et jeunes adultes. En raison de leur dure'e d’effet limite', la prise de ces comprime's ne doit impe'rativement s’effectuer que sur les consignes donne'es par les autorite's nipponnes ou l’ambassade, qui agit en e'troite relation avec les experts et me'decins de l’institut de radioprotection et de su^rete' nucle'aire (IRSN).

福島原発 これまでのまとめ3 生殺しの覚悟 3月23日

父の見解は要約すると、「長期戦になるだろう。自分のやりたい(やるべき)ことと、放射性物質の被害を、価値観の天稟にかけて、各自の判断で行動するしかない。結果は何(十)年もたたないと分からない」
以下詳細。

■実態が分からぬまま人は慣れる

最悪の場合Aは起きた。最悪の場合Bが避けられるか未だ不明。
不明な理由:第三者的な科学者・技術者が議論するための、原子炉の基礎データがない
こと(①圧力容器②格納容器内の温度圧力推移、注入された海水の行方など)。首相のお喋りと異なり情報公開が進まぬこと:米国が偵察機で撮影し日本政府に提供した詳細写真を、日本政府が公開しない、等。
ただ、時間がたって刺激に慣れてきた。目前が見えないメクラの安心。

■だらだらと汚染は続くだろう
最悪Bが起きずとも、最悪Aゆえに、放射性物質の放出は続く。
2号炉の圧力抑制室にあいた穴や、山盛りの若い核燃料が露出した4号炉使用済核燃料プールから、等。
放出を止める手立ては発表されていないし、技術者に聞いても快答はない。
チェルノブイリのような石棺での覆いはもっと熱が冷めた数年後になろうという技術者談。
つまり、放出は何ヶ月も、このまま技術解決がない場合は何年も続くだろう。
南向き風が吹くと、太平洋沿いから千葉を越えて関東平野放射性物質が降ってくる可能性が慢性的にある。
風下の群馬の野菜が汚染されているとの報道=風上の東京・千葉も汚染されているということ。

原発から近く直接吹く(関東平野の)風の方が、地球一週した風より、放射性物質が濃いのも道理。

放射性物質の影響はある

・政府見解:「直ちに」健康に影響を与えるレベルではない
・実態:群馬・栃木県(近郊野菜産地)や、福島県海水から、放射性物質が検出

政府が云うのは、すぐには白血病にはならないということであって、それは当たり前。
洗い流せる体表面の被爆と、体内に取込むと残留する被曝は、全く次元が違うことは、
よく認識したほうがよい。
低濃度でも、特に空気・水・食べ物とともに体内に取り込む頻度が高まれば、体内で継続的に放射線が放出され、甲状腺or臓器ガンになる可能性は10年間で数%は高くなろう。

■さてどうするか
超短期的には、次の二つを天秤にかけて、決めることになる。目にも見えず、結果もすぐにわからない脅威のもとで、このような覚悟のうえで意思決定をしなければならないのが、0311以降の日本人なのだ。
(P)予備校の春期講習に出る。受験対策のために、命を削ることを覚悟。
(Q)寿命リスクを考えて、なるべく安全なところに長くいる。命のために、学歴を削るor浪人を覚悟。

とりあえずは疎開先から東京に戻っても、今後1-2年レンジでこんな選択肢もある。
(R)南半球への海外留学(ホームステーを含む)

■体内被曝を減らす努力
政府マスコミの「安全だ」は眉唾だ(生産地農家を背景に政治圧力がすごいだろうから)。
重要なのは、千葉も東京ももはや土壌汚染地域だということと、食物連鎖による濃縮。
新聞にも暮らしの上での対策がよく出ている。安全係数を多めにかけて熟読。

特に止めたほうがよい食べ物(産地を見て買う):

  • 乳製品(バター・牛乳・チーズ):東北・関東。千葉もNG!
  • 卵:茨城も千葉もNG!
  • 野菜:福島、茨城、栃木、群馬(各国が輸入禁止

 葉野菜は減らし、産地に関わらず温水でよく洗う。キャベツの外葉は捨てる。
 1月もすると、土壌汚染(表層数cmに放射性物質が残留)による植物内汚染がはじまろう。
 今まで忌み嫌っていた中国野菜がこれからの頼みの綱。

  • 魚(特に大型魚)・海産物(のり・わかめ):千葉〜三陸〜北海道の表側はNG
  • 飲み水:海外製か地震前に取水されたミネラルウォータにする

 後で水道水汚染が報道されることに備え

産地表示のないレストランでの外食は避けたほうがよい。

外出時は、すその長い外套と帽子を被る努力を。
外套と帽子は、家の玄関外で脱いでマスクをしたまま埃を払い、玄関のタンスにしまう。
マスクは毎日新しいものを。家の中だけ外す。
手顔をよく洗う。鼻うがいもよいか。
自転車でもマスク。雨に打たれて走るのはNG。

福島原発 これまでのまとめ4 放射性物質の危険予測のテクニック 3月25日

毎朝ないし毎晩、風向きと天候をチェック(できればノートに記録するとよい)。
(1)(2)(3)を関連付けるトレーニングをすることで、どんな場合が危ないか、
自分なりに予測できるようになってくると思う。

(1)事前に、天気図(現況と予想)をもとに、風向・前線(降雨)を予測
http://www.jma.go.jp/jp/g3/ 気象庁天気図
低気圧から高気圧に向けてS字の向きに流れるの覚えてる?

(2)風向図で実績をチェック+ホントに雨が降ったかも記録
http://tenki.jp/ 天気ガイド⇒アメダス⇒風向風速
直近12時間の風向きがどうだったかが分かる

(3)汚染状況(空気の放射線量と水の汚染)の実績を2-3日後にチェック
http://atmc.jp/

父は、ここ数日の観察で、こんな感じだと思っている。
・太平洋岸に沿って、南風が吹くと、都内の線量は増える
・雨の後は線量が下がる⇒雨とともに放射性物質が降る
・降雨後1-3日は、水道水の放射性物質量が増える

福島原発 これまでのまとめ5 マスクの選び方と逆浸透膜浄水器 3月26日

今日は、放射性物質対策になりうるマスクの選び方について書きます。
ポイントは2つ。(1)顔にフィットしていること。(2)PFE(0.1μM粒子の除去率)が99%以上と
明記してあるサージカル(外科用)マスクを買うこと。
(2)は、父の知る限り、興和というメーカーの「三次元マスク」か、米国N95規格をクリアしたマスクのみ。
FSC F-95」って名の商品も見つけた。

(1)顔にフィットしていること
チェック方法:マスク装着後、マスクの中央に片手を当てて息を吐く。
一箇所から大量に漏れている場合は、調整してみる。
それでも駄目なら、マスクと顔形が合っていないので、あきらめる。

(2)マスクの防塵性能
マスクの防塵性能の指標
BFE 4〜5μM(マイクロメートル=0.005mm)粒子の除去率
PFE 0.1μM粒子の除去率

一方、放射性物質のサイズはどうか。
元素自体の大きさは、0.1μMの1000分の1レベルのサイズ(酸素分子と同程度らしい)。だから、マスクは意味なし。
しかし、1986年チェルノブイリ事故の際、日本(つくば)に飛来した放射性核種を含む
エアロゾル(空気中浮遊物)の粒径の研究をみると、PFE率が高いマスクならばある程度の捕捉効果がありそうだ。

・大きさ=重力落下のしやすさ:ヨウ素セシウムルテニウムストロンチウムプルトニウム
 131I<137Cs,103Ru<<90Sr<239,240Pu
・0.43μm以下に全体の放射能の50%が存在し、粒径の増加とともに急速に放射能が減少する
・乾いた放射性物質の粒径1μm以上だと重力で沈降する。これより粒径が小さくなるにしたがい重力があっても浮遊する(ブラウン運動による)
プルトニウム(最近漏洩が心配されている3号機の燃料)は少量の摂取でも、体内残留してα派が出て、肺癌などの危険性が大変高い。
人が作りだした半減期24,000年!の最悪物質。大きいので、落下しやすいと想像して心を休めるしか手がない。
チェルノブイリ事故発生4月末から5月末までの観測によると、粒径は時間とともに大
きくなる傾向。平均粒径はヨウ素セシウムの場合0.4μm ⇒0.7〜0.8μmへ。
つまり、滞留時間が長いほど塵が大型化してマスクで捕捉しやすくなる。
福島〜東京250kmで、塵の何%が0.1μM以上になるかは正直わからない。
観測結果が出ることを望みたい。
・対流圏では1月程、成層圏では9月で、浮遊量は半分に減る。対流圏では1年たてば無
視しうる量に減る。
・大気中の放射能の大部分が降水によって除去されている(水道水汚染の原因)

ここから云えること:
・マスク:BFE 99%では意味なし、PFE 99%以上は必須。
・水に流れ込んだ場合、放射性物質が水中でイオン化せず、塵と結合したままの状態な
らば、「逆浸透膜」式の浄水器ならば、除去できる可能性がある。逆浸透膜フィルター
の穴は0.0005μm程度で、水の分子は0.0003μm程度。この為、水の分子よりも大きい物
はほぼ除去できるため(殺菌成分も除去されてしまうが..)。
逆浸透膜浄水器は100千円以上するし大きいので家庭用には不向きかも。西永福サミッ
トに置いてある機械で漉す水も逆浸透膜式のようだが、HP見たら「放射性物質は除去
できません」と書いてあったな。何故だ?
同じ浄水器でも、中空糸膜方式(0.1μm)や活性炭方式では、あまり効果は期待できな
い。

ちなみに、水道局の浄水場では「砂」で漉して塩素入れるだけ。滞留期間も、一般的な急速ろ過式では1日弱だし、放射性物質には全く効かないと思われる。

福島原発 池上彰TV番組のまやかし

今30日夜「池上彰の学べるニュース」たらいう番組をみて仰天した。
政府+メディアが民衆をだます典型的なやり口だ。
彼から煽動(プロパガンダ)の手口を学ぼう。

手口1:重要な点から、聞き手の目をそらさせる
池上曰「野菜は洗えば放射性物質は落ちるし、ゆでるともっとよい」
確かに、落下した塵に含まれる放射性物質が葉の「表面に」ついた野菜はそうだろう。
しかし、重要なのは、今後の土壌汚染によって、野菜の「中に」取り込まれた放射性物
質が、植物のDNAを犯し、取り込んだ人間を汚染すること。これは食べないことしか防
ぐ手立てはない。

手口2:経緯や背景を説明せず、都合のよい事実だけを言う
池上曰「安全を見込んだ基準でチェックされているからだから大丈夫ですよ」
確かに、地震後に厚生省が出した通達の基準はクリアしている。
しかし、食品に含まれる放射性物質の許容値は、通達以前は、通達基準の1/15〜1/30で
あったことは云わない(下記)。

手口3:数値を出さず、感情的に納得させようとする

池上曰「中国や東南アジアの人々は海が汚染されると心配して塩を買いだめしている(
愚かだと云わんばかり)。海は広いから今の状態でそこまで心配する必要ないですよ」
どれだけの量の放射性物質が流れ出たかも把握できていないのに、何故安全と言えるの
か。安全かどうかの判断指標は何か。数字・実験結果などを踏まえた説明がない。中国
・東南アジア人蔑視の感情に訴える点が汚い。

「関係者が内輪でお手盛り。民衆には知らしむべからず、寄らしむるべし」の国の真骨
頂が見えてくる。

                                                                  • -

■規制限界値についてのノート

●震災前
日本水道協会によるWHO水道水水質ガイドライン
ヨウ素-131 10Bq/L 
セシウム-137 10Bq/L

厚生労働省医薬局食品保健部HP 平成13年11月8日
輸入食品中の放射能濃度の暫定限度は、ICRP(国際放射線防護委員会)勧告、放射
性降下物の核種分析結果等から、輸入食品中のセシウム134及びセシウム137の放
射能濃度を加えた値で1kg当たり370Bqとしている。

●震災後

厚生労働省医薬食品局食品安全部長通知 平成23年3月17日付「食安発0317第3号」 
放射能汚染された食品の取り扱いについて
...当分の間、別添の原子力安全委員会により示された指標値を暫定規制値とし、こ
れを上回る食品については、食品衛生法第6条第2号に当たるものとして食用に供されることがないよう販売その他について十分処置されたい。...

飲食物摂取制限に関する指標(注:★は震災前基準値を越えている)

・放射性ヨウ素 (I-131)
 飲料水 300 Bq/kg★
 牛乳・乳製品 300 Bq/kg
 野菜類 (根菜、芋類を除く) 2,000 Bq/kg

放射性セシウム
 飲料水 200 Bq/kg★
 牛乳・乳製品 200 Bq/kg
 野菜類  500 Bq/kg★
 穀類  500 Bq/kg★
 肉・卵・魚・その他 500 Bq/kg★

      • -

原子力安全委員会のHPには、基準値も書いてないし、設定根拠も説明されていない。
食品衛生法6条2項は、有害物質を含む食品を販売してはならないというだけで、ヨウ素
セシウム濃度を定めてはいない。